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◆はじめに・・ |
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ここ数年来、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に関する報道はマスコミを 賑わせ、患者様はもとより一般市民の方までが、その存在を話題にする 時代になりました。ヘリコバクター・ピロリについては現在でも感染経路 などすべてが解明されたわけではありませんが消化性潰瘍の治療に おいて除菌療法が大きな役割を果たしていることは明らかな事実です。 そして、ようやく日本においても検査と除菌療法の保険診療が2000年 11月より認められることとなりました。これを機に、ヘリコバクター・ピロリ の正確な知識を学びましょう。 |
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◆ピロリ菌に感染する原因について |
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どのようにしてピロリ菌に感染するのですか? |
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感染経路はまだはっきりとわかっていませんが、口を介した感染(経口感染)が大部分であろう と考えられています。 |
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また、ピロリ菌の感染率は衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分普及 していなかった世代の人で高い感染率となっています。 | |
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感染を予防する方法はありますか? |
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ピロリ菌感染を予防する方法は、よくわかっていません。 |
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日本で行われた調査によると、若い人のピロリ菌感染は比較的少ない のですが、40歳以上では約80%の人がピロリ菌に感染しています。 ※ これは子供の頃の衛生環境が感染に影響したとされています ので今後は減る傾向にあると考えられます。 |
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衛生環境が整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下 しており、あまり神経質になる必要はないでしょう。 |
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◆ピロリ菌に関係する病気について |
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ピロリ菌はどんな病気をおこすのですか? |
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ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は症状を 自覚しません。 |
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胃・十二指腸潰瘍の患者様はピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発生、さらに再発や 治りにくさにピロリ菌が関係していることがわかっています。 | |
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ピロリ菌を除菌するとどうなるのですか? |
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これまで胃潰瘍や十二指腸潰瘍は再発しやすく、再発するたびに治療が必要なやっかいな 病気と考えられていました。 |
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薬を服用することにより、ピロリ菌を退治する治療を「除菌治療」といいます。 |
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胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、この除菌療法を行うことにより 完全というわけではありませんが、大部分の潰瘍の再発が抑制されることがわかって きました。ただし決して再発しないというわけではありません。 | |
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ピロリ菌に感染している人は、みんな除菌したほうがいいのですか? |
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ピロリ菌に感染しているすべての人が除菌療法を受けなければならないわけではありません。 |
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日本人のピロリ菌感染者の数は約6,000万人といわれていますが、ピロリ菌が原因で胃潰瘍や 十二指腸潰瘍になっている人は、そのうちのごくわずかです。ほとんどのピロリ菌感染者は 症状もなく、健康に暮らしています。 |
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除菌療法の対象となる人は、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の患者様でピロリ菌に感染している 人です。 | |
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潰瘍の原因はピロリ菌だけなのですか? |
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ピロリ菌以外にも、お酒やタバコ、鎮痛剤など一部のお薬あるいは過度のストレスなどが 潰瘍の原因となることがあります。 |
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ですから、ピロリ菌に感染していない(あるいは除菌した)からといって、決して潰瘍にならない (あるいは再発しない)というわけではありません。しかし、このようなケースは少なく特に 十二指腸潰瘍ではピロリ菌感染がなければ潰瘍を心配する必要はないでしょう。 | |
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◆除菌療法について |
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ピロリ菌の除菌療法とはどのようなことをするのですか? |
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胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者様に対して 検査を行い、ピロリ菌がいることを確かめて から治療をおこないます。 |
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ピロリ菌の除菌療法とは2種類の「抗生物質」 と「胃酸の分泌を抑える薬」の合計3剤を 同時に1日2回、7日間服用する治療法です。 |
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すべての治療が終了した後、4週間以上経過 してから、ピロリ菌が除菌できたかどうか もう一度検査する必要があります。 |
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除菌療法の注意点は何ですか? |
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自分の判断で服用を中止すると、除菌に 失敗して、治療薬に耐性を持ったピロリ菌が あらわれる事があります。
※耐性: |
お薬に対して細菌が抵抗性を示す ようになり、薬が効きにくくなる | |
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副作用があらわれたと思ったら、院長に相談 してください。 |
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除菌療法の成功率はどれくらいですか?失敗した人はどうするのですか? |
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正しくお薬を服用すれば、ピロリ菌の除菌は約90%の確率で成功します。 |
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万が一、ピロリ菌の除菌に失敗した場合は、院長と相談してその指示に従ってください。 | |
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◆ピロリ菌の検査について |
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どのような検査があるのですか? |
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ピロリ菌の検査には、内視鏡を使う方法と内視鏡を使わない方法があります。 |
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内視鏡を使う方法には、迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法があります。 これらの方法では内視鏡により採取した胃の組織を用います。 | |
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迅速ウレアーゼ試験 ピロリ菌の持つ酵素の働きで作り出されるアンモニアを調べて ピロリ菌がいるかどうかを判断します。 |
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鏡検法 採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより ピロリ菌がいるかどうか調べます。 |
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培養法 採取した組織を用いて培養しピロリ菌の増殖の有無を調べます。 |
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内視鏡を使わない方法には、抗体測定、尿素呼気試験、その他の検査法があります。 | |
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抗体測定 血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べること により、ピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。 |
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尿素呼気試験 検査用のお薬を飲み一定時間経過した後に吐き出された息 (呼気)を調べてピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。 |
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その他の検査法 便を調べてピロリ菌感染を判定する方法もあります。 |
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